写真撮影に使うツールは基本的にデジタルカメラですが、色々勉強するうちに、フイルムカメラへの興味も湧いてくるわけで(笑)。
昔から持っていたフィルムカメラで撮った写真、これをデジタル化してみたいという衝動を抑えきれなくなってしまいました(爆)。
Plustek OpticFilm 8100
デジタル全盛のこのご時世、フィルムスキャナーそのものがあまりなく、選択肢も限られてしまいます。
一応、フィルムをデジタル化するツール
解像度(低い!)や出力フォーマット(Jpegオンリーとか)という点でなかなか満足するものはありません。
で、私の中で行きついたのが上の製品。最大7200dpiまで行けますし、48bitTIFFやDNG(Adobe提唱の汎用RAWデータ)にも対応しています。
値段は正直お高めですが(3万円ほど)、でも5万円、10万円超えする製品もあるなかで、この価格はギリギリ手を出せる範疇でした(^-^;
使い勝手
こちらですが、正直大変です。
何が大変かというと、
1.スキャンするフィルム(スリーブ)を1枚1枚手でセットしないといけない
2.スキャンが遅い!
というものでして。
手でセットする件について
6枚分写っているスリーブをアダプターにセットし、それをスキャナー本体の横から突き刺すように入れていく仕組みです。
該当するフィルムが本体中心の位置にくるよう左右にずらすのですが、これがちょっと面倒。
おおよその位置で止まってはくれますが、微妙に左右にずれたり、少しですが斜めになったりします。
大きくトリミングはしたくないので、何回もプレビューをしながらフィルム全体がきれいに収まる位置にずらし、スキャンするようにしています。
プレビュー自体はそこそこ速いですが(10秒くらい)、でも位置が合うまで同じ動作を繰り返すのは面倒です。。
スキャンが遅い!
これも、まあしょうがないのでしょうが。
解像度が上がるにつれて、走査する時間は長くなります。当たり前ですが。
最大の7200dpiでスキャンすると、だいたい90秒くらいかかったと思います。
さらに、この製品の特長でもあります「マルチ・エクスポージャー」機能(光の周波数を変えて再スキャンする事で、ダイナミックレンジを広くする技術)を使うと、その倍は時間がかかります。
いいんですけど、枚数こなしていくと、眠くなるんですよね(苦笑)。
フィルムスキャナー全体に言えるめんどくささ
上は「Plustek OpticFilm 8100」特有の問題ですが、フィルムそのものを扱う場合にとっても面倒だな、と思える事がありまして。
フィルムスキャナーを取り扱った事のある人であれば、すぐ思いつくと思いますが・・
ホコリ除去
そう、ホコリが大変なのです!
ちょっとしたホコリでも、スキャンするとデカデカとしたものが映り込んでしまうわけです!
一応この製品にはスキャンしたデジタルデータから、ホコリが映り込んだ部分をソフトウェア的に除去するレタッチツールは付属しておりますが、それはなるべくなら使いたくはないです。理由は単純で画像全体が劣化するからです。
なので、スキャンする前に、全神経をフィルムに集中し、ホコリを取り除く作業に入るのですが(苦笑)。
やはりホコリは人間のいるところ、いたるところに舞っているわけでして・・。
※そのためお風呂場とかホコリのあまり舞っていないところで作業をする、という人もいるくらいです。。
それに、フィルムには静電気がたまり易いという問題もあり、これが余計ホコリを取りにくくしている要因にもなっているのです。
私は次の製品を使って、ほこり取りをしておりますが、これがあると無いでは結構違います。
amazon – KING カメラクリーニング用品 静電防止 ブラシ
それと、ホコリを吹き飛ばすブロアーも欠かせません。
吹き出し口が短いのが良いです。
さて、こんなかんじでホコリを除去しても、フィルムスリーブをアダプターにセットしてフィルムスキャナーにセットして・・とやっているうちにまたホコリが舞い込んでいるのに気が付いて、そしてまたブロアーから・・というように、とっても大変です(苦笑)。
時間をかけてスキャンして、後でPCで見た時にホコリが付いていると・・またやり直しとなるのでほんと大変です。
キズや指紋には要注意
それと。
ほこり取りなどしているうちに、うっかりと下に落としてしまった、手で直接触ってしまった、なんてことの無いようにしましょうね。
特にキズなんて、ほとんど修復不可能ですから。。
指紋取りも気を付けてくださいね。
指紋=油脂ですが、これを取ろうとしてその辺にある洗剤など使ったら本当にお終いですから。
※一度えらいことしてフィルム1枚ダメにしたことがありまして・・(泣
もしどうしても使う必要が出てきたのであれば、これ。
堀内カラー(HCL) フィルムクリーナー
もっとも、そうなる前に手袋しなさいよ、という話も・・
Kenko 手入れ 保管 管理用品 Harbor 編集・整理手袋
・・ほんと、めんどくさいですよね。。
もっとも、私はここまではしておりません(^-^; 静電防止ブラシとブロア止まりですので悪しからず。
スキャン後の現像
スキャンしたデータを、どの形式で保存するのか、にもよりますが。
jpegや24bitTIFFで保存するのであれば、専用レタッチツール(付属品)が使えます。
ですが、普段使い慣れているツールなど使いたい(たとえば Adobe Photoshop LightRoom)、というのであれば、48bit TIFF やDNG形式での保存が良いと思います。
なお、DNG形式で保存すると、私の環境ではなぜか LightRoomで取り込んだときに小さい画像にしかならなかったので、48bit TIFFで保存するようにしています。
そうそう。
TIFFやDNGで保存した場合は、いわゆるRAWデータ扱いとなりますので、ネガフィルムの場合はさらにひと手間必要となります。
色が反転しているので、一度トーンカーブを反転してあげないといけません。
こんなかんじです。
元々、点線にあるように左下から右上に伸びていく線を、このように左上から右下に降りていくような線にするわけです。
また、シャドウの開始部分を右にずらしていますが、フイルムをスキャンした場合、狭い範囲で色が固まってしまうことが多いのでこうしています(ダイナミックレンジが狭い?のですかね、よくわかりませんが)。
リバーサルフィルムであれば、こういった手間は当然ですが不要です。
肝心のお写真
肝心のお写真ですが・・
正直なところ、お見せできるような、まともに撮れたものはほとんどなく(汗
CONTAX TVSII / VELVIA 100 で撮ったものを、Plustek OpticFilm 8100 で 7200dpi , 48bit TIFFでスキャンし、LightRoomで取り込んだ状態のものです。
こちらは上の画像をレタッチしたもの。
元々がリバーサルで、中でも出来の悪くないものを選んだので、それほどいじってはおりませんが。
でも、最低限ホワイトバランスと露出補正はかけないといけないです。
写真の出来栄え
正直なところ、解像感は最初からデジタルカメラで撮った方が断然上だと思います。
フィルムの解像度を決める指標「RMS粒状度」というものがあるそうで、今回使ったVELVIA100はRMS粒状度が8なのだそうです。
FUJIFILM リバーサルフィルム フジクローム Velvia 100 35mm 36枚 1本
フィルムの色を出す粒の粗さなので、一概にデジタルカメラの解像度と比較するのは出来ないですが。
VELVIA100のRMS粒状度=8という数字は、かなり細かい方なので、解像感は出るはずです。
それでも、上の写真、等倍で見てもデジカメのようなキレッキレのかんじにはなりません。
フィルムなので、元々そういうものですし、ザラザラ感が好きだからフィルムやっている、という人もおります(特にネガフィルム)。
上で解像感、と書いたのはこういった部分のことを指しておりますが、ここは正直好き好きでしょう。
ですが、上の写真に関していえば、単純にピントが合っていないだけかもしれません。
CONTAX TVSII は一眼レフとオートフォーカス機構が違い、ピントを厳密に合わせる事が出来ません(カメラ任せ)。
それに、フィルムスキャナーのピントずれという可能性も否定できません・・。
そう、フィルムスキャナーがフィルムをスキャンするときもピント合わせというのは必要なのです。
ただ、今回使った「Plustek OpticFilm 8100」はピント合わせに関する設定が全くないのです。
内部でピント合わせしているのか、それともフィルムの位置で微妙にピントがずれるのか・・。それすら情報がないのです(汗
なので、これについてもっと検証したいな・・と思っております。
まとめ
なんか途中から脱線しちゃってよくわからなくなってきましたが(汗
Plustek OpticFilm 8100というフィルムスキャナー自体、これはとても良い製品だと思います。
フィルムスキャナーそのものがあまりない中、しっかりした作りでそこそこ本格的な使い方(解像度を上げてRAW現像する)ということもできます。
7200dpiなんて、写真屋さんにもっていってもやってくれないですからね。
富士フイルムさんでも、300dpi(300万画素)対応なので、せいぜい2L版くらいの印刷にしか向かないです。
もうちょっと高くて600dpiとかやっているところもありますが、そうなると値段も跳ね上がります。
まあ、上で述べた面倒な手順を、自動でやるか手でやるかという違いはあるにしても、お店の方でやっているわけでしょうから、どうしても手間賃が発生するのは分かります。
でも、そういったサービスも結局はJPEG納品ですから、そこからさらにレタッチするような用途には向きません。
だから手間を惜しんでもこういった機械に手を出すマニアな人がいるわけでして(私?)。
で、また脱線しましたが。
そこそこ本格的な用途に耐えうる能力のあるスキャナーで、このお値段で提供しているのは、正直かなりお得だと思いますし、貴重な一品だと思います。
まだフィルムを使うことはありますし(色々興味が出てきていますので)、フィルムが存在する限りはお世話になるのだろうな、と思っています(笑)。