FUJIFILM Xシリーズ用RAW現像ソフトがフィルムシミュレーションに対応
というお知らせが2015年2月5日にアナウンスされて、ちょっと喜んでいたのですが。
2月26日にリリースされて実際に使った人の感想など見ていくと、あれ?というものが散見したので、ちょっと気になって調べてみました。
RAW FILE CONVERTERについて
まず最初におさらい
「FUJIFILM Xシリーズ用RAW現像ソフト」と書いてあるのは、正確には「RAW FILE CONVERTER EX 2.0 powered by SILKYPIX (Ver.4.1.0.0)」というソフトです。
「SILKYPIX」という汎用RAW現像ソフトウェアをベースに、富士フイルム用XシリーズデジカメのRAW現像に特化したソフトウェアなのです。
(参考)amazon – 市川ソフトラボラトリー SILKYPIX Developer Studio Pro6パッケージ版
注)最新版SILKYPIX と RAW FILE CONVERTERはベースとなるバージョンが異なるようです
このソフトウェア自体は昔から存在していたのですが、富士フイルム社最大のウリである(と思っている)フィルムシミュレーションが対応しておりませんでした。
今回やっと対応した、という事で喜んでいたのが前回まででした。
フィルムシミュレーション
フィルムシミュレーションとは、簡単に言うとフィルムの色を再現するためのもの。
フィルムを交換する感覚で色の表現を変える事が出来るものです。
分りやすい例が、モノクロ。
モノクロフィルムを入れて写したら当たり前ですがモノクロで写ります。
リバーサルフィルム(例えばVELVIA)を入れて写したら、ものすごい発色の写りになります。
(参考)amazon – FUJIFILM 黒白ネガフイルム ネオパン 100 ACROS 35mm 36枚
(参考)amazon – FUJIFILM リバーサルフィルム フジクローム Velvia 100 35mm 36枚
フィルムは一度撮ったその色でしか現像出来ませんが、デジカメの場合はRAWファイルというものがあり、そこから好きなフィルムの色で何度でも現像出来る、というようになっています。
Fujifilm X-E1 Film Simulation Sample(B)
Fujifilm X-E1 Film Simulation Sample(VELVIA)
Fujifilm X-E1 Film Simulation Sample(PRO Neg. Std)
このフィルムシミュレーション、困ったことに富士フイルムのXシリーズではカメラ本体からしか設定することが出来ません。
昨年春ごろになって、Adobe社製「Lightroom」という汎用現像ソフトウェアでフィルムシミュレーションに対応したのですが、これはカメラ本体で現像した色と微妙に異なるのです。
現像のレシピをAdobe社が自分で考えて、富士フイルム社がお墨付きを出した、というものらしいのです。
富士フイルム社は色再現のレシピを門外不出にしたいのでしょうね。
(参考)amazon – Adobe Photoshop Lightroom 5.0
今回出た「RAW FILE CONVERTER EX 2.0 powered by SILKYPIX」は、富士フイルム社が独自に提供している、いわば純正品。
だから、きっと門外不出の色再現レシピをここで再現してくれるのでは?と思ったわけです。
これならカメラが今後壊れても、RAWファイルさえあれば元の色で現像出来るという安心感を得られるわけなんですよ。
RAW FILE CONVERTERが実際に公開されて
今回フィルムシミュレーションに対応しているのは、X-T1/X-A2/X100T/X30/XQ2 と新製品から生成されたRAWファイルだけ。
なので私の持っている X-E1 では今のところ試す事が出来ません(泣)。
でも、古い機種も今年中には対応する、という事だったので、X-T1など持っている人などから先に意見を聞いてみたいな、と思い調べてみました。
5/19追記 X-E1/E2など他機種にも対応しました!
RAW FILE CONVERTER EX 2.0 powered by SILKYPIX (フィルムシミュレーション対応版)
こちらのページから、最新版をダウンロードできるようになりました。
Ver.4.1.0.0からVer.4.1.1.0への変更内容
RAW画像のフィルムシュミレーション現像に対応するカメラを追加しました。
対応機種:FUJIFILM X-Pro1/X-E1/X-E2/X-M1/X-A1/X100/X100S/ X10/X20/XF1/XQ1/X-S1
Ver.4.0.0.0からVer.4.1.0.0への変更内容
RAW画像の現像にフィルムシュミレーションを追加しました。
対応機種:FUJIFILM X-T1/X-T1 Graphite Silver Edition/X-A2/X100T/X30/XQ2
まず某掲示板(笑)
- 色々試してみたが、JPEG撮って出しと全く同じにはならない
- クラシッククロームで比較したがLightroomの方がJPEG撮って出しに近い
- なんか違う。市川ソフトラボラトリー(RAW FILE CONVERTERを制作したところ)のエンジニアが試行錯誤で色合いを近づけて、富士がそれにお墨付きを与えたって作り方なんだろうね。
散々な結果ですね。。
某掲示板だからまた適当な事言ってんじゃないの?(笑)と勘繰りして、別のサイトを見たのですが。
ここでは、もっとはっきりとした事実を突きつけられる事に。。
FUJI RUMORS
Film Simulations in RAW File Converter EX Version 2
※英語ですが気にしない
Rico Pfirstinger
X-100T/X-T1で撮影したものを、カメラ内現像(記事ではSOOC JPEGと表現)とRAW FILE CONVERTER(記事ではRFC EX 2 versionと表現)したもので比較しています。
※注 SOOC = Straight Out Of Camera の略。日本語だと「撮って出し」です
※注 RFC EX 2 version なので、製品版では無いです。が、ここが製品版になっても大きく変わるとは思えません。。
全体的に、RAW FILE CONVERTERの方が発色が薄い気がします。
どちらが良い悪い、好みかどうか、ではなく、「違う」事が問題なわけで。。
結論
ダメじゃん!(泣)
他社メーカーカメラだったらそんなの普通に出来る事なのに。。
NIKON社の「Capture NX-D」然り、CANON社の「Digital Photo Professional」然り。
まあ、こちらはRAW現像を自分で行ってね、というのが基本スタンスなので、色再現性を大事にする富士フイルム社とは違うのでしょうが。。
でも、富士フイルムが作る色(カメラ内現像で出てくる色)は好きなんですよね。。
色いじっても簡単には破たんしないし(RAW現像ソフトだと結構簡単にむちゃくちゃにできる)、
RAW現像ソフトでは難しい色再現も、カメラ内現像では簡単に出来るし。。
だから手放せない。。困ったものです(笑)